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映画『ソサエティー』を思い出しています

「ソサエティ」という映画があります。ブライアン・ユズナ監督による1989年の初監督作品です。特殊メイクは日本人のスクリーミング・マッド・ジョージ氏が担当されています。

私は、アナログテレビ放送で2回見ました。

今はamazonで中古のDVDなどのメディアを購入するしか見られないようです。

残念ながら、最新の特殊メイクや特殊撮影、高度なCGが当たり前の今の映画と比べると、いかにも古い映画という評価をしている人も多いようです。

しかし、そのような評価にかかわらず、私にはこの映画は強く印象に残っていますし、好感をもっています。(エンドロールで流れる楽曲も好きです。)

※以下、若干のネタバレがあります。ただし映画関係のサイトに書かれている程度以上のことは書いていません。しかし、この映画をはじめて見る人は、映画を見てから読まれた方がよいでしょう。

この作品は、社会で優位な立場にある人々が、実は普通の人間とは種族が違うモンスター的な人々だったという話です。

クライマックスで、社会的地位の高い人々が自分たちの本当の姿を現します。それはたいへんグロテスクなモンスターです。

社会的地位の高い人々がモンスターである点がこの映画の面白いところです。

普通の人間が何も知らずにそういうモンスターに従っているという話は、現実の社会への風刺ですね。

裕福な家に生まれた子どもと、普通の家に生まれた子ども、貧しい家に生まれた子どもとでは、人生の歩み方はどうしても異なってしまいます。同じ努力をしても、裕福な家庭の子どもの方が有利であるのが実情です。

裕福ではない家庭に生まれた人間から見ると、何かにつけて恵まれている裕福な人々は、普通の人間の力では及ばないような強い能力を持っているように見えます。それは、普通の凡庸な人間が持っていない能力ですから、ある意味でモンスター的です。

そういうモンスター的なハイソサエティの人間たちを、グロテスクな存在として描いているところにこの映画のおもしろさがあります。

また、英語の多義的な society という語の意味を味わえる点でも、この映画を見る意義があるかもしれません。

昨今、お金を集めることに異常なほどに特殊な能力を持った「宗教」団体が問題になっています。そして、政権を担う政党に所属する議員や大臣など、上流社会に属する人々と密接な関係があったことが明らかになっています。

一般人が知らないところでそんなことがあったんだ、ということで私も驚いた一人です。

そしてその驚きから、あまり映画を見ない自分が見た映画の中で『ソサエティー』を思い出してしまったというわけです。

世の中には納得できないことがたくさんあります。フィクションの世界は、たとえナンセンスと思えるような作品でも、そういうことをわかりやすく示してくれます。

私は、この映画の価値はユーモラスな風刺精神にあると思っています。

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