キース・エマーソンの音楽はやっぱりいいなと思うんです

Keith Emerson

キース・エマーソン By Mari Kawaguchi (Own work) [GFDL (http://www.gnu.org/copyleft/fdl.html) or CC BY-SA 3.0 (http://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0)], via Wikimedia Commons

ロック・ミュージシャンのキース・エマーソン氏(以下敬称略)が亡くなって、もう1年半近くになりました。

キースの訃報に接したときは、本当にショックでした。10代の頃にもっともよく聴いた音楽がエマーソン・レイク&パーマー(EL&P)でしたし、40代になってあらためてナイス(the Nice)を繰り返し聴いた私にとっては、父親や師匠を亡くしたような喪失感があったのです。

キース・エマーソンは、当時の少年にとって遠い国の偉大なロック・スターでした。超絶技巧と派手なステージ・パフォーマンスは、あこがれ以外の何ものでもありませんでした。もちろん、当時の私たちにとって、あこがれのロック・スターはほかにも、ギターではエリック・クラプトン、ジェフ・ベック、ジミー・ペイジの3大ギタリスト、キーボードでは、ジョン・ロードやリック・ウェイクマンがありました。もちろん、ほかにもすばらしいアーティストがたくさんいたのです。

『ミュージックライフ』(シンコー・ミュージック)という洋楽ポピュラーを中心とする雑誌がありました。(1998年に休刊し、その後デジタル版として再刊されるも現在はまた休刊中なのですね。寂しいです)。

この雑誌のファン投票で、バンドとしてEL&Pが1位に、各メンバーもそれぞれの楽器部門で1位になったことがありました。

当時の編集長が、キース・エマーソンを訪ね、インタビューをされていた記事がありました。キースが、『ミュージック・ライフ』の雑誌をもって写っている写真や、kawasakiのバイクに乗っている写真が印象に残っています。ステージでのプレーは、ロック・ミュージシャンとして激しく魅せる人ですが、内面は繊細で優しい人だという意外性を感じたこともありました。

キース・エマーソンは、何度か日本のテレビ番組に出演しています。『タモリの音楽は世界だ』には、私の知る限り2回は出演されていますし、youtubeにもある小倉智昭さんの『とくダネ!』では、朝から生演奏をされていました。

kawasakiのバイクといい、日本製のキーボードを使われていたこともあり、日本へはそれなりに好意を持たれていたようで、ファンとしては嬉しい限りでした。

キース・エマーソンの演奏で、一番好きなものは何だろうと考えてみました。アルバム『展覧会の絵』や『タルカス』、『恐怖の頭脳改革』は、いうまでもなくたいへんすばらしいと思います。これらは、EL&Pの最高傑作だといえると思います。

しかし、あえて挙げるならば、ナイス時代の「カントリー・パイ」だと思っています。ボブ・ディランの曲に、ブランデンブルク協奏曲第6番とが一体となってしまうのです。人によっては、邪道だという意見もあると思います。

しかし、私にはこれこそがキース・エマーソンの演奏の中でも、もっとも好きな曲です。

『展覧会の絵』の最後の曲「ナット・ロッカー」もクラシックの有名な曲をロックにアレンジした曲ですが、これは、チャイコフスキーのメロディをほぼそのままロックにアレンジした曲です。

これに対して、ナイスの「カントリー・パイ」はボブ・ディランの曲がいつの間にか、ブランデンブルク協奏曲第6番になっていて、そのままそれを伴奏にしながらボーカルが続いていくという構成が、何ともいいようがなく不思議な感じがします。

「クラシックとロックの融合」が、それ自体でよいことかどうかは、私には評価できません。しかし、作品自体が好きか嫌いかという感覚的なところでは、間違いなく大好きな曲です。

10代の頃は、ロック・スターというのは、この世の普通の人とは違う特別な人で、全く世間の常識とは別の世界に住んでいる人のようなイメージがありました。10代の人から見れば、それだからこそ、ロック・スターにあこがれるのでしょう。ロックというジャンルは、昔も今も、若い人を顧客の主要なターゲットにする「青春の音楽」というべきものです。

大人になってみると、ロック・スターが異次元の人というような見方はなくなりました。この頃、たびたびBS放送で放映される、昔のロック・スターのインタビューでは、皆がそれぞれ、戦略的にバンドのコンセプトをつくっていたことを聞くと、起業家のような印象すら受けます。そもそも、ロック・バンドを立ち上げることは、昔も今も、起業するのと同じなんだとあらためて思います。

私が10代の頃のスターは、今では70歳を超える年齢になり、歴史の語り部のように、飾らないで当時の心境などを話してくれています。このことに、うれしさと、少々の寂しさも感じたりもしています。

実は、ファンでありながら『キース・エマーソン自伝』はまだ読んでいません。彼が亡くなって1年半を過ぎた今、読んでみるべきだとようやく思うようになりました。

近いうちに、この本は読んでみたいと思います。

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